会報「北のみなと」No.50より

 家庭菜園の続編として、プロの技を披露して戴きたいとの依頼 があり正直とまどっております。経験は長いのですが、野菜つくり の場所が遠く離れており、休日を利用した週1度の作業、見回りの ため、害虫、病気等に苦戦しながらの栽培です。失敗の状況を話題 として提供したことが何度もあり、このような雑感を書く羽目に なり後悔しているところです。また、貴重な「北のみなと」誌面に 我が菜園を紹介することに恐縮している次第です。

 写真は5月27日に、種まき、苗の植え付けを終え、4月下旬に植 えたジャガイモが順調に育っているところです。奥に写っている ログ八ウスは、休憩、物置として平成7年に間伐材を利用したキッ ト、3坪を50万円で購入、基礎、組立を自前で行ったものです。
 ここでの野菜づくりは、小樽開発建設部勤務(昭和62年)時代 から始めました。実家が農業を営んでいた関係上、父母の仕事を手 助けして育ったので若干の自信が有りました。
 雑木、雑草、石ころを取り除き、周囲に排水溝を施し16年経てよ うやく畑らしく成りました。
 開墾の当初は、少々の肥料と雑草とりで、農薬を使用しなくても、 秋には馬鈴薯、大根等立派な品質の野菜が収穫となり満足していま したが、しかしそれは3年ほどでした。
 やがて、害虫が集まり、病原菌の繁殖、連作の弊害等、害虫、病 気の総攻撃を受けることとなりました。
 遠隔地で週1度の作業、見回り のため、プロの技などほど遠いものです。害虫の駆除、病気の防除 が遅れることとなり、現在も悲惨な失敗の連続です。

 @トウモロコシにアブラムシが大発生し全滅、これは農薬の散布 のタイミング、濃度、種類が適 切でなかったと反省していま す。反射鏡を置く撃退法も有りますが、今年は、木酢1,000倍 溶液を畑全体に3〜4回散布しアブラムシが近づかないような 方法を採りたいと思っております。
 Aナスの苗にヨトウ虫が登り先端の芯を切り落とされ、収穫が激 減。ヨトウ虫は昼間、苗根元の土の中に潜り、夜中苗を食い荒 らす。このため苗の根元にビニールを敷くと土中に入れなくな るので被害は無くなった。他にヨトウ虫は、トウモロコシ、ネ ギ、人参等の生育初期、また白菜の中身を食べ荒らします。対 策を立てなければと思っております。
 B収穫直前の枝豆を全部ネズミに横取りされた。ログ八ウスを建 てた年、草取りを怠ったため、ネズミの通路、巣作りの場とな り被害を受けた。草取りをこまめに行って被害は防げました。
 C収穫した馬鈴薯の表面に痘痕発生、見栄えが悪い。植付け5年 経過頃から徐々にひどくなり解決に苦心したが、昨年から、馬 鈴薯の植えつけ時にネジビン粉剤を土に混ぜ種馬鈴薯を植える と効果が顕著に見られほぽ痘痕が無くなり良質になった。
 Dトマトの実が熟す直前になって木が黒くなり枯れる。菌による 病気であり土の消毒が必要とのことで、劇薬(クロールピクリン) で消毒の方法があるが取り扱いが不安な為、ここ2年は、バナーで土を焼き殺菌している が、まだ効果が上がってこない。
 以上の様なことが次々と起こり苦戦の連続で有りますが、ABC のように原因が判り解決できたものも有ります。

 最近は、被害に遭い、防除をどうするかを考えるのが楽しみとな り、そして解決したときの喜びは、ひとしおで得難いものでありま す。

 このような、悪戦苦闘の野菜つくりですが、まず自分が育てた季 節に合った野菜は美味しい。自然相手、環境も良く、やらなければ ならない仕事が多く、熱中する事となり、日頃の考えていることを 忘れることが出来、ストレスの解消につながる。また野菜の生育に よる変化を見るのが非常に楽しく、家庭菜園を続けている基にな っている。

 収穫は、春のミツバ、ウド、アスパラ、アサツキに始まり、白菜、 カプ、キュウリ、ナス、トマト、南蛮、枝豆、南瓜、人参、大根、 馬鈴薯、トウモロコシ、長芋と続きます。

 このほかにイチゴ、梅、梨、プ ルーン等の果実の収穫もあり自分でも数の多さに驚いております。 最近、札幌周辺での農園が目立ち、一生懸命に働いているおじい ちゃん、おばあちゃんの姿を見掛けますが微笑ましいものです。そ して、やはり毎日行くことが理想ですが、少なくとも週2〜3回行 くことが出来る範囲の場所を選ぶようお勧めします。野菜は品質の 良いものをつくるのは難しいが、見栄えにこだわらなければ、味に 問題はなく容易につくれるものです。

  苦労が有りますが、誰にでも出来る、家庭菜園に挑戦してみては 如何でしょう。老後の趣味としては、奥が深く、思い通りに成らな いが、優しく、楽しく、最も適しているのではと思います。