会報「北のみなと」No.51より

国土交通省
北海道開発局
港湾空港部長
安井 誠人

 北海道港湾空港建設協会並びに会員の皆様には、日頃より国土交 通行政の推進に当たり、とりわけ北海道の港湾・空港・漁港の整備 に関して、ご理解とご協力をいただいておりますことを厚く御礼申 し上げます。
 平成15年7月18日付けで北海道開発局港湾空港部長に着任いたし ました。

 こちらに参りまして、台風10号、また十勝沖地震と度重なる自然災 害に直面して、北海道におけるインフラの整備・運営の大切さを再 確認させられています。インフラは便利さを提供するばかりでなく、 安全で安定できる生活を守るためにも不可欠なものであります。
 私どもの仕事の重さを益々感じるとともに、会員の皆様との良き パートナーシップを発揮しながら、「地域の皆さんの喜び」を実現する インフラを実現していきたいと念ずる次第です。

 現在、公共事業に関しては、その整備の目標と成果の明確化など、 厳しくその内容を問われています。同時に、公共工事のコスト縮減、 入札・契約手続きの透明化、公平化など、様々な観点から既存シス テムの見直しが進められています。一方で、厳しいデフレ経済下で国、 地方公共団体の財政事情も逼迫しており、着実なインフラの整備を 進めるのは容易な状況ではありません。港湾・空港の整備にも「選 択と集中」が求められる所以であります。

 このような環境下ならばこそ、港湾の分野におきましては、北海 道開発局として昨年4月に「21世紀の港湾ビジョン」を策定し、21 世紀の北海道港湾の基本的役割(@日本の暮らしを支える、A北海 道の自立を支える、B新世紀の日本と北海道を先導する)を明らか にし、北海道のアイデンティティを確認しつつ、日本の中で確実な 地位を果たしうるよう、様々な戦略を立てています。

 国際的にも、産業の水平・工程間分業が刻々変化するアジアの貿 易構造への対応や、SOLAS条約に基づく港湾での安全管理対応な どのグローバル・スタングードヘの対応が急がれてし、るなかで、ビ ジョン実現に向けて実行可能なプロセスをいかに組み立てるかが大 きな課題ではありますが、北海道が「自立した強い地域経済を形成 し、雇用の確保を図り」、「地域の皆さんの生命・財産を守る」施策 をより一層進めたいと考えております。

 また、地方分権の観点での道州制の議論も出てきております。 日本全体、道民全体、地域全体など様々な立場で議論が進められ ると思いますが、北海道開発のあり方とともに、各立場で必要とさ れる行政サービスについて、満足できる水準で提供できるかどうか という形で議論されることも必要だと感じています。

 この「顧客満早度」ともいうべきアプローチは、港湾、空港、漁 港を問わず追求していくべきものであり、今後の「みなとまちづく り」の課題です。

 地域のオピニオンリーダーでもある協会会員の皆様は、その知恵 と行動力で地域づくり、みなとまちづくりを一緒に担っていく方々 だと信じています。

 地域の期待と厳しい視線が注がれる中で、技術の知恵を出して、 「地域に喜びとともにあれ」という気持ちでやっていこうではありま せんか。

 貴協会並びに会員の皆様の益々のご発展を祈念して、ご挨拶とさ せていただきます。