会報「北のみなと」No.54より
 私が生まれたのは日高の門別町です。
 当地方は海の幸、山の幸に恵まれておりますが、特に、春から秋まで山菜が豊富に採れる地域であり、 子供の頃より山を駆け回り、運動と食材確保の一石二鳥でよく山菜採りに行きました。
 私は、運送業からはじまり土建業に手を広げ、白 老町に居を構えて現在に至っておりますが、子供の 頃に身に付いていた自給自足の思い出と作物の生長 過程を見守りながら収穫する楽しみを求めて、住宅 に隣接する空き地を利用した畑で、いろいろな野菜 類を作っております。
 家庭菜園を楽しんでいる畑の様子は写真−1の通 りですが、その広さは300坪程度あります。  現在は全ての収穫を終えて来春を待つ状態ですが、 雨が多く雪の少ない白老においては、春から秋まで、 野菜の生長と収穫の楽しさを満喫することが出来ま す。
 しかし、家庭菜園の畑の耕しから種まき、その後 の手入れは全て私の仕事であり、収穫は妻の特権と なっております。  収穫した野菜類は自家消費の他、社員に配ってい るようですが、その場合のお礼の言葉は全て妻に向 けられており、収穫までの労働を全て行っている私 としてはちょっぴり不満があります。  しかし、これも健康を維持する運動であり家庭円 満の一つと考えて、毎年いろいろな野菜類の栽培に 励んでおります。 このような中、胆振・日高地方の山野で採れる数 多くのキノコの中で一番おいしいとされている「ボ リボリ」を畑で栽培することを思い立ち、未知の世 界ですが挑戦することとしました。 「ポリポリ」の栽培方法については暗中模索の状 態であり、まずは、「ボリボリ」が着生する腐食した 樹木または腐植土と「ポリポリの胞子」があればキ ノコが発生するのではないかと考え、我流で畑一画 の土の中にそれらしきものを埋めて様子をみること としました。
 「ボリボリ」の畑は、写真−1の奥に写っている フェンスの手前部分ですが、周りでは従来どおりイ モやトマト、豆類などを育てて家庭菜園を楽しんで いました。  しかし、「ボリボリ畑」は草が繁茂したままであり、 何も知らない近所の人からは、「あの空き地には何も 植えないのですか」と聞かれることも度々ありまし た。

 ところが、「ボリボリの胞子」らしきものを埋めて から3年目の夏になったら写真−2及び写真−3の とおり、足の踏み場もないほど沢山の「ポリポリ」 が畑一面に発生し、「異様な光景」を見せました。

「ヤッター・デテキター」  

 涙のでる感動の時でした。

 写真−2は、「室蘭民報」が「畑でボリボリ栽培に 成功」として紹介していただいた時に掲載された写 真ですが、写真−3でも見られるとおり、畑の草む らから次々と生長してくるキノコはまさしく待ち望 んでいた「ボリボリ」であり、この時は大きな感激 と達成感にひたるとともに収穫の喜びを十分味わう ことができたわけであります。  まさに、家庭菜園の醍醐味と充実感を肌で感じた 記念すべき年でした。  この「ボリボリ」の栽培は今年で5年目を迎えま したが、今年も多くの収穫があり、家庭菜園による 「ポリポリ」の栽培にある程度の目途が立ったものと 自負しております。

 しかしながら、キノコ類は雨と日照時間、気温等 が微妙に影響することから来年の収穫については皆 目分かりません。

さらに、土の中に埋めた「ポリ ポリ」の胞子の寿命などは不明で あり、この「ポリポリの栽培」の 成否については確証できませんが、 「ボリボリの畑」を順次更新するな ど思考錯誤を繰り返しながら、健 康の続く限り家庭菜園を楽しみた いと考えております。
ボリボリ(ナラタケ)
 「シメジ科ナラタケ属」のキ ノコで、8月中旬から9月上旬 にかけて、腐朽の進んだ切り株 や倒木、牧場等の朽木や腐植土 の地上に発生する。   キノコの傘は、径3〜10cm 内外の淡黄色で、初め半球形か ら丸形になり、さらに平らとな る。中央は褐色で黒味がかった 細かい鱗片をつけ、傘のまわり に条線(短いすじ)が見られる。  良いだしが出るので特に汁物、 鍋物に合うキノコである。