会報「北のみなと」No.57より


国土交通省
北海道開発局
港湾空港部
中村 信之

  この度、8月2日付けで北海道開発局の港湾空港部長を拝命いたしました。 北海道港湾空港建設協会並びに会員の皆様には、常日頃から私どもの港湾空港整備事業に対して、暖かいご支援とご協力をいただいておりますことに、心より感謝申し上げます。改めまして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
  2年ぶりの北海道勤務ですが、この間近畿地方整備局、四国地方整備局とそれぞれ特色のある地域で港湾空港行政に携わることができました。東京湾と並び臨海部に多くの企業が立地する大阪湾には神戸港、大阪港をはじめわが国を代表する諸港が位置しますが、各港は近年の東アジア諸港との厳しい国際競争に晒されており一層のサービス向上、港湾コスト縮減が大きな課題となっています。

これらの課題解決に向け、メガターミナルの形成をはじめとするいわゆるスーパー中枢港湾の取り組みが、港湾管理者である神戸市、大阪市はもとより地元経済界との連携により進められています。今後、北海道においても経済界との連携による国際物流対策に向けた取り組みが期待されます。

  四国には13港の重要港湾、138港の地方港湾があり、それぞれの特色ある地域を構成しています。とりわけ瀬戸内海に面している諸港には、製紙、造船、化学など多様な産業立地があり、それぞれが港湾機能と密接に結びついています。四国の総人口は約420万人ですが、4県を擁し、県が各港の港湾管理者となっています。各県では、知事自らがポートセールスに国内外に出向くなど積極的な取り組みが行われています。予算要求、港湾計画、利用振興など県のトップとの直接のやり取りは、港湾行政と地域との距離感の近さを改めて感じさせました。

  防災上の課題としては、今後30年以内に50%の確立で発生が予想されている東南海・南海地震対策が喫緊の課題となっています。四国地方整備局を事務局に地元4県をはじめ関係行政機関による情報連絡協議会が異動直前のこの6月に発足しました。千島海溝、日本海溝の海溝型地震の発生が予想されている北海道においても参考となる取り組みです。

  また、みなとまちづくりは全国各地で取り組まれていますが、四国では「みなとオアシス」の名称で進められています。マリーナ、フェリーターミナル、海浜などの施設を活用し、地元の方々が中心となり地域の交流拠点を形成するものです。このような取り組みを北海道でも進めてみたいと考えています。

  さて、北海道の港湾空港整備についてはこの8月に平成18年度の概算要求が行われたところです。公共投資関係費に対しては引き続き厳しいシーリングがかかっていますが、新たな時代の北海道における港湾の役割とおおむね10〜15年後の展望を示した「21世紀の北海道港湾ビジョン」(平成14年4月)を踏まえ、北海道の強さを活かし、弱さを克服するための広範多岐にわたる施策を総合的に推進することとしています。
  具体的には北海道の経済と暮らしを支える多目的国際夕一ミナル、内貿ユニットターミナルの整備、逼迫する海溝型大規模地震津波対策など安心・安全な地域づくり、クルーズ船誘致に向けた観光振興に必要となる旅客船バースの整備、良好な環境の保全・復元等の取り組みの強化、リサイクル社会の実現のための広域静脈物流網の整備等を、また、空港関係では新千歳空港の国際拠点空港化の推進、稚内空港の就航率改善対策等を着実に進めることとしています。
  これまで、北海道における基盤整備は、北海道総合開発計画に基づき行われてきました。現在の第6期北海道総合開発計画は、平成19年度で終了することから、今後次の計画に向け準備が進められることとなります。

  一方全国の開発計画は、全国総合開発計画から国土形成計画と名を改め、平成18年から19年を目処に全国計画が策定されることとなり、その後、各ブロック計画が地域主体に策定されることとなります。
  官から民へ、国から地方への流れの中で、今後わが国が少子高齢化社会を迎える中で活力ある持続的発展を行うにはどのような社会資本が必要となるか広範な議論が進められることとなります。
  一方、限りある財源の中で、北海道の開発がわが国の諸課題の解決にどのような役割を果たしていくのかが従来にも増して問われることが予想されます。このような中、貴協会会員の皆様の地元港湾所在市町村におけるオピニオンリーダーとしての各種活動には心強いものがあります。関係者のご努力に心より感謝申し上げますと共に、今後ともよろしくお願いいたします。

  最後になりましたが、貴協会並びに会員の皆様のご活躍とご発展を祈念申し上げて、就任のご挨拶といたします。