会報「北のみなと」No.62より

1.趣旨

これまでの漁場整備は、地方公共団体及び水産業協同組合により整備が行われ、沿岸海域においては漁場整備による一定の効果が図られている。しかしながら、沖合漁業の漁獲量は減少傾向にあることから、沖合海域における漁場整備の推進が喫緊の課題となっていた。
  このことから、平成19年2月漁港漁場整備法の改正を行い、漁場整備の施行主体として国を追加し、排他的経済水域において、国が資源の回復を促進するための施設整備を資源管理措置と併せて実施することにより、当該海域の水産資源の生産力を向上させ、水産物の安定供給の確保を図ることとしている。

国が行う漁場整備事業の要件は下記のとおり

@我が国の排他的経済水域において施行されるもの。
A海洋資源の保存及び管理に関する法律により、その保護及び増埴が必要とさ
   れる水産動植物。
Bその事業が施行される海域において、著しい効果があること。


2.背景

○我が国の漁業生産動向
  我が国の周辺海域は、元来、水産資源が豊かな海であり、世界の主要漁場の一つとされているが、近年、資源水準の低位な魚種が増加している。我が国の漁業生産量を平成16 年と平成6年で比較すると、沿岸漁業の生産量が約17%減少したのに対し、沖合漁業は約35%減少している。

○我が国周辺の水産資源の現状
  我が国周辺水域の主な水産資源については、独立行政法人水産総合研究センターが、毎年、資源評価を実施している。平成17年の資源評価結果によると、資源評価が行われた魚種・系群のうちの半数以上が、資源水準が低位にあるとされている。

○我が国の排他的経済水域
  我が国は広大な排他的経済水域を有し、その面積は約405万km2と、国土面積の約11倍である。(国連海洋法条約に基づいて設定されている経済的な主権がおよぶ水域を示す。沿岸国は国連海洋法条約に基づいた国内法を制定することによって、白国の沿岸から200海里の範囲内の水産資源及び鉱物資源など非生産鉱物の探査と開発に関する権利を得られる代わり、資源の管理や海洋汚染防止法の義務を負う。)

○世界の水産物供給量
  国連及びFAOの予測によれば今後、世界の人口は増加を続ける一方、水産物供給量は頭打ちとなっている。

○資源回復計画の実施
  漁業関係者、都道府県、国が一体となって、休漁による漁獲圧力の削減等を計画的に行う資源回復計画が推進されている。その中で、「日本海沖合ベニズワイガニ資源回復計画」をはじめとする7計画が新たに策定され実施に移されている。資源回復の大半は、休漁をはじめとする漁獲制限を伴うもので、短期的には漁業経営に厳しい影響を与えるため、関係者間の実施内容の調整には困難を伴うが、持続的かつ安定的に漁業を続け、水産物の安定供給を図るため、今後とも関係者間の合意形成が重要となっている。












3.国が行なう漁場整備事業計画の事
    業内容

○目的
  国が定めた資源回復計画に基づき、日本海西部海域(島根県沖)の排他的経済水域内において、ズワイガニ、アカガレイの産卵、生育場所を確保するための、保護育成礁を設置し、資源の保護及び再生産によって資源を回復することを目的とする。
  平成19年度は、設置に当たって必要となる海底地形の詳細把握のための自然環境等の測量等を実施



4.事業実施主体
  国

5.負担率
 
国 3/4、都道府県 1/4(兵庫県、鳥取県、島根県)