会報「北のみなと」No.70より

 当協会では、港づくりに携わる者としてハード技術を研鑽するばかりでなく、ソフト面からも港を正しく「価値ある港湾」として理解してもらうため、関係機関への一助となる行動を起こすこととしました。 取りまとめるにあたり、重要港湾以上を対象に港湾振興会などと連携を図り、一般市民を対象としたアンケート調査と港利用者との意見交換会を行いました。港利用者との意見交換会は、平成16年9月28日から平成21 年2月5日までに全道で6箇所で開催して、その結果を踏まえて提言を取りまとめました。

港利用意見交換会の概要

  各港で組織されている港湾振興会等の協力のもと、対象港湾ごとに港利用意見交換会に参加していただく対象者を選任して、主に@港のいいところ・悪いところ、A港に欲しいもの・期待するものについて、アンケート調査の結果も踏まえて意見交換会を開催しました。
   なお、港利用意見交換会で得られた意見を当該港湾の施策に反映させてもらうために、港湾管理者及ぴ北海道開発局の各開発建設部港湾関係者の方々にも参加をいただきました。

---  開催履歴 ---
第1回開催 平成16年 9月28日 第4回開催 平成19年 2月 1日
稚内港 網走港
参加人数 33名 参加人数 43名

第2回開催 平成17年 4月26日 第5回開催 平成20年 2月14日
釧路港 室蘭港
参加人数 38名 参加人数 49名

第3回開催 平成18年 2月 3日 第6回開催 平成21年 2月 5日
紋別港 留萌港
参加人数 26名 参加人数 33名


(1)
今回の港利用意見交換を通じて、地域における港湾諸活動が地域経済や生活に大きな役割を担っていることを再確認することが出来ました。
  また、住民参加者からは、さまざまな立場の方々が一堂に会して港湾について意見交換をすることについての重要性について、発言された方も多くおりました。港湾の果たす社会的な役割や重要性を 踏まえまして、国におかれては港湾整備の整備主体としてさまざまな立場のものからの多様な意見を聴取する取り組みについて、引き続きご努力を図られるようにお願い申し上げます。
 
(2)

港湾管理者及び北海道開発局開発建設部港湾関係者のご参加をいただいて開催いたしました港湾利用意見交換会では、各港湾においての有用な意見を数多くいただき、それぞれの内容については、すでに港湾整備計画等に反映していただいているところもあると思われますが、これらの意見は大変貴重な現地の声でありますので、なお一層全道の港湾施策を検討する際の一助にしていただければと思います。
 

(3)

広く一般市民も対象としたアンケート調査を行ったところ、市民レベルでは港湾の役割やその重要性について認識が不足しているところが多々あると思われます。一方で、一般市民は港湾に対して港湾空間の質的向上、機能性や効率性に加え、快適性を重視するウオーターフロント等により港を身近に感じさせる役割に大きな期待を寄せていることも分かりました。

  このようなことから、港湾に緑地などの交流空間を整備する際には、港の魅力を楽しんでもらうとうい観点から、港に一般市民を誘導することによって当該港湾の諸活動を見ていただくことが重要であります。さらに港湾整備計画の立案に当たっては、市民、企業、専門家と自治体との民主的な合意形成が必要であり、そのためにも港湾の役割やその重要性を体感してもらうための取り組み、仕掛けが有効であり、特に今回の一般市民を対象にしたアンケート調査の結果は、「主要な意見交換内容」の課題解決のための一つの手段になるものと考えられます。
 

(4)

前掲のとおり、一般市民の理解不足に対して港湾の重要性や必要性をPRする取り組みが重要であると思います。国におかれては、ポートウォッチングなどのPR活動を精力的に取り組んでおられることと思いますが、施設の機能転換に当たって環境にも配慮することが港湾の理解を深めるために必要不可欠な取り組みでありますので、引き続きPR活動をいただければと思います。
  なお、当協会及ぴ協会会員といたしましては、一般市民の工事見学会等へのご協力など出来ることは国と連携を図りつつ実施して参りたいと思います