会報「北のみなと」No.73より



  様似漁港における衛生管理型漁港施設の整備を推進するため、老朽化が進んだ岸壁の撤去改良に合わせ、労働環境面及び衛生管理面の改善を目的に、屋根付き−3.5m 岸壁の改良工事を行った。




工事名   様似漁港岸壁改良工事

工   期   平成21年3月26日
                     〜平成22年3月18日 

発注者   室蘭開発建設部

請負者   酒井・山田・南経常建設共同
            企業体

工事内容

構造物撤去工

98.58m

  (旧堤体取壊し、撤去)

 

基礎工

1式

  (床堀・基礎捨石)

 

本体工

92.58m

  (水中コンクリート)

 

上部工

92.58m

  (上部コンクリート)

 

舗装工

1式

  (コンクリート舗装)

 

排水構造物工

1式

  (排水施設)

 

仮設工

1式

  (地盤改良)

 

上屋工

1式

  (建築工事)

 


写-1  様似漁港全景

1) 施工関係
@ コンクリート舗装版の取壊しをコンクリート圧砕機で行うことにより騒音・振動の低減を図ることができた。

A 地盤改良時にレーザーレベルを使用して施工基準面高の管理を行い、施工時間の短縮を図ることができた。また、人員の削減にもつながった。

B 回転圧入鋼管杭の出来形の向上を 目的に鋼管杭の上下にスペーサを 取り付け、鋼管杭の偏心量を許容範 囲の50%以内にすることができた。

2) 安全衛生関係
@ 現場内に警報機付風速計を設置し、吊荷作業中止基準である風速 10m/s以上の風速をリアルタイムで計測できた。

A 地盤改良施工の際、施工場所が狭く作業員及び周辺構造物との接触が懸念されたため、スピーカー音声による接触防止付バックホウを使用して安全に作業することができた。

3) 地域への貢献等
@ −3.5m 岸壁背面の荷揚作業ヤード内をO〜40mm再生骨材を使用して平坦に不陸整正をし、荷揚作業が容易にできるようにした。

A 既設物揚場背後地が降雪後凍結融解によってアイスバーン状態となり、漁港利用者及び車両が滑る危険があったため、路面に砂を散布し漁港利用者の転倒防止ならびに車両事故防止を図った。

B 日高中央漁業協同組合前に大型土のうを設置し、高潮及び荒天時越波による漁組施設への海水の浸入を防止した。

問題点
  土砂の掘削箇所を試堀したところ、既設舗装コンクリート下部2.3m 程度の箇所から砂質土であり、土砂を掘削する際に洗掘によって土砂が崩壊し、隣接する日高中央漁業協同組合施設に悪影響をおよぼす危険があった。

対策
  土砂掘削前に日高中央漁業協同組合前面の地盤改良を監督員に提案し、工程・品質・環境・コスト面等各種工法について比較検討・協議を行った結果RASコラム工法での地盤改良に決定し、土砂の崩壊を防止することができた。

クリックで別ウインドが開きます
図-1  -3.5m岸壁 A1部 標準断面図



RASコラム工法(スラリー系機械攪拌工法)の概要


工法概要
大口径の改良ができることに加え、攪拌削孔ヘッドと攪拌翼が分離しており正逆回転方式により攪拌土砂の共回りが解消され品質の良い改良が可能で側方変位が少ない工法である。(NETIS登録方法)
経済性
φ2000と大口径であるため他工法に比べ経済的。
工程・工期
改良部1m当たりの施工時間が他工法より早く、改良径がφ2000であることから、工期短縮が図れる。
(実施日数 改良箇所170孔 2週間)

品質
砂質土や粘性土など広範囲な土質に適応可能。また、正逆回転方式により側方変位が少なく鉛直性が確保できる。今回セメント使用量は130kg/m3で改良を行った。

  当該工事は、漁組荷捌き施設の使用を1年間中断しての工事となり漁業者や漁組に対し事前に工事について理解をいただくことが重要でした。
  特に8〜10月にかけての繁忙期(サケ・イカ・コンブ漁)は漁船の航行が頻繁に行われたため、海上作業の際は、打合せを密に行いご迷惑がかからないよう注意を払い、無事故にて工事を完了することができました


写-2 施設完成全景