会報「北のみなと」No.64より

はじめに

  私の趣味で投稿依頼を受け、特殊な趣味もない私ですが、不思議な観葉植物 通称「ハカラメ」を 4年前から育てているので、その植物のことを皆さんに是非紹介させていただきたいと思います。私が何とも奇妙なこの植物に出会ったのは小笠原諸島の父島でした。

  防衛省が公告した父島の工事箇所の視察の為、当時、関東支店の土木部長だった私は生まれて初めて父島に行くことになったのです。

   皆さんは父島に行ったことがありますか?父島には東京の竹芝桟橋から出航しますが、なんと24 時間もかかるのです。海の仕事に携わってきた私ですが、最初の2 〜3時間は快調でしたが、東京湾を越えてからの船の動揺により、時間が経つにつれ、食欲はなくなり、気持ちが悪くなり、ついにはベッドに横になってしまい、十数時間耐えたことを思い出します。

  やっとのことで着いた父島で、これからご紹介する「通称:ハカラメ」と出会ったのです。

ハカラメとは?

  原産地はアフリカで、短日性多肉多年草。正式名称は「セイロンベンケイソウ」ベンケイソウ科リュウキュウベソケイ属。日本では小笠原諸島や南西諸島に自生しています。

  成長すると1.5m〜2.0m近くの丈になり、1年〜2年後にはうまく気温、日照時間等の条件が合うとマスカットのように緑白〜橙色の釣鐘状の花を多数つけ、下部が赤く咲く「幻の花」と言われる花を咲かせます。

ハカラメの色々な呼び方

 「ハカラメ」とは通称名でまさしく、葉から芽が出てくる植物なので「葉から芽」と言われています。他の呼び方で「グッドラックリーフ」「ハッピーリーフ」「幸運の葉」「ミラクルリーフ」「マザーリーフ」とも言われています。

  同じベンケイソウ科でカランコエ属の「子宝草」というのもあり、「ハカラメ」もこの「子宝草」のように葉先から芽を出すことから「子宝草」とも呼ばれることもあるようです。

  また、中国では「落地生根」と呼ばれ、落ちた葉がなお生きて根を出し成長するというしたたかな性質から来ているようです。さらに、この「ハカラメの花」はその様子が灯籠を思わせることから「トウロウソウ(灯籠草)」とも呼ばれることもあり、本当に色々な呼び方をされる植物です。

ハカラメの薬草効果

  全草や根には消炎作用や止血作用、解毒効果があることが知られています。中国では吐血、胃痛、関節痛、刀傷出血、のどの腫れや痛み、乳腺炎、潰瘍、やけどなどに用いられ沖縄でも、葉を止血、腫れ物、虫さされなどに使われているようです。

「幻の花」

  写真−2は我が家で育てている「ハカラメ」で初めて「花芽」をもった写真です。この「幻の花」は花筒の中に蜜が含まれていて、砂糖のない時代には甘味料として利用されていたそうです。

ハカラメの育て方のポイント

@ 20℃以上の気温を好みます。室温は10℃を下回らないように、冬は室内に入れてください。
A 7℃位が生育の限界。霜があたると枯れてしまいます。
B 早く育てたいときは10日に一度くらい、液体肥料を与える。
C 室内では窓際の日当たりの良い場所がいいでしょう。
D 夏の炎天下は嫌います。明るい日陰か朝から昼頃まで陽が当たり、午後は日陰になるような場所がいいでしょう。
E 光の方向に成長するので、時々、鉢を回して、茎がまっすぐに伸びるようにしましょう。
F 1年後には1m以上に成長しますので、最終的には7号〜8号鉢に1株が目安。
G 茎が弱い場合や大きくなったら、市販の支柱で支えてあげてください。

最後に

  自然界の中には私が知らないだけで不思議な植物や動物が多く存存し、その不思議さというのは生き延びるために長い期間をかけて進化した結果なのです。私たち人間にとっては奇妙に思えたにしても、その植物や動物にとってはたぶん、生き延びるためにあみ出した知恵なのでしょうね。

  今回、ご紹介したこの「ハカラメ」ですが、「マザーリーフ」とも言われるように子供が授かるようにとの願いを込めて新婚さんにプレゼントされることもあるようです。実際、インターネットで検索したら、2枚で750円で購入出来るそうです。もし、育ててみたいという方がおられましたら連絡いただければ無料で差し上げます。是非一度、お試しになってはいかがですか?何か良いことが生まれるかもしれませんよ。ただし、保証はしかねますが…。

        
                         子宝草